フイルム現像編
・・・プロローグ・・・
 「カラーも良いけど、モノクロームの世界にも魅せられる」 「でも、フイルム現像、引き伸ばし作業を考えるとモノクロはどうも」 と言う向きが意外と
多い。
 案ずるより生むは易しで、トライしてみることでしょう。取りあえずは信頼の置けるDPE屋さんに頼むのも一案です。昔は意外とこのケースが多かっ
た様に思います。
 DPE屋の店主に、なかなかの腕利きがいたもので、コンテスト用にネガの選択からトリミング、引き伸ばしまでアドバイスしてくれたものです。勿論
お店でも引き伸ばしもしてくれた。
 こような店主は、年齢的なことや「カラー時代」、「デジタル化」の波に押されて商売にならないなどが理由でしょうか、少なくなりました。
 最近、若者の間で静かなブームとまでとは言わないまでも、モノクロ志向が見られ、モノクロームの現像・プリントを受け付けるカメラやさんが増えて
いる。店によってはなかなか良質のプリントを上げていますし、プロラボと契約しているところもあります。

・・・自家現像器具の準備・・・
 取りあえず、フイルム現像からやってみたら如何でしょうか。フイルムが作品の元になりますから、フイルム現像は自分で処理した方がベストです。
何度かテストを繰り返し、先輩などに現像結果に対してアドバイスを受け、自分の作品にあった調子のネガを作り上げることです。
 【準備するもの】
@ 中型以上のダークバッグ
A 小型現像タンク、これには色々なタイプがあり、利点欠点があります。先輩の意見を聞いて みては如何でしょう。因みに私は、ナイコールタイプ
のLPLステンレスタンクを、1本用と2本用をそれぞれ2個使用しています。
 オートリールタイプのものもありますが、現像液の量が多く重いことから使用しておりません。
 別にフジフイルムのベークライ製のベルト式ノーリール(35mm2本用)を使用しております。
B 薬液を計量するメスシリンダー、濃縮タイプの現像液や停止液を計量するには50cc〜100ccのもと200ccのカップが最適、また薬液を溶解す
るには1,000cc〜2,000ccのカップと、500cc(1,000ccを流用しても良い)のカップ3個が必要です。 
C 欠かせないのが温度計です。シビアな事を言い出すと切りがありませんが、ガラス棒の並で良いでしょう。予備を含めて2〜3本程度。(意外と温
度指示値にばらつきがあるので指示温度の揃った物を求める)
D 現像タンクが首までつかる六つ切り〜四つ切程度の深形のバット。台所用品コーナーなどで求めるとよい。
E フイルムの水切り用スポンジ(最近良いものがなくなりました)
F タイマー、専用に限りませんが見やすいもの。
G パトローネ・オープナーとフイルム・ピッカー

・・・さ〜現像の準備です・・・
 まず、現像液、停止液、定着液などの薬液を調剤します。
 慣れるまでは、使用フイルムの指定推奨薬剤を使用して、指定現像時間で処理されることをお薦めします。(少し高濃度で、コントラストも高めに仕
上がります)

 以下は、私の処理工程を述べます。(Kodak T-MAX 400の例)
@ 現像液は、昔から使い慣れたAGFA-RODINALと同じ調剤のR09 ONE SHOTを、
 1:25に希釈して使用しています。
 1本用タンクの場合は、原液8ccに水200cc、2本用では原液16ccに水400ccで希釈、これで十分です。(タンクによって液量は異なります)
A 停止液は、ILFORD STOP BATHを指定どおりの希釈で1,000cc。これを保存して15本程度繰り返し使用する。
B 定着液はILFORD HYPAM FIXER(非硬膜)を指定どおり1:4に希釈し1,000cc溶解して10本程度繰り返し使用します。
C その他として、水洗促進剤と水切り剤などを準備します。私はフジ・フイルムのQWとドライウエルを使用しております。
D 20℃に調温した現像液を、19℃〜20℃の水を張つた前記の深バットに漬けて保温する。
E ダークバッグに撮影済みフイルムと現像タンク、リール、パトローネ・オープンナーなど小道具を入れて密封。
F フイルムをリールに巻き込み蓋をした後は明室での作業です。
 リールにフイルムを巻き込むには多少コツがいりますが、テスト用のフイルムを使い明室で十分練習すると良いでしょう。(友人に、1リールにフイル
ムのベース面を重ねて2本を巻き込む業師がいますがお薦めできない)
 これで準備完了です。

・・・現像開始・・・
@ フイルムの装填されたタンクを、前記の深バットにしばらく浸けて、タンク内の温度を20℃の環境に馴染ませる。(夏の高温時や冬の寒冷期に
は、20℃の水で1分程度前浴をする)
A タンクに現像液を注入、キャップをしてタンクを掴んで手首を左右に回転する方法で約30秒間攪拌する、以後は30秒間隔で5秒〜7秒攪拌、こ
れを繰り返し5分で現像を打ち切り、現像液を排出して停止液を注入する。排出した現像液は、連続して使用する場合に限り再使用が可能ですが、
私は再使用はしません。
 現像時間の5分とは、「液の注入開始から排出開始までか」、「注入完了から排出完了までか」その他いろいろな組み合わせがあり意見の分かれ
れるところですが、私は注入開始から 排出開始までとしております。この手順での現像時間を決めています。
B 停止液注入後は、前記の要領で激しく10秒程度攪拌して排出する。
C 定着液を注入して、現像の時と同じ要領で30秒程度連続攪拌を行い、後は30秒間隔で5〜6秒の攪拌、ハイパムフィクサーは非硬迅速膜定着
液のため3〜5分で終了すると言われ ているが、私は7分から10分程度かけている。定着液を排出して水洗に入る。
D ILFORD社では、タンクに水を注入して振り洗いを3度ほど行えば良いとコメントしているが、私は振り洗い後水洗促進剤QWで2分間の処理をし
ている。水洗も10分と長めで仕上げ ています。
・・・試してください・・・
T-MAXの場合、上記の工程ではベースのマゼンタ色が残ります。これが気になる方は、水洗振り洗いの温度を26度に上げて2〜3分置きますと廃
液は濃いマゼンタから、回を重ねるごとに薄くなり黄色身を帯びてくると、ベースはクリアーになります
E 水洗の完了したフイルムを、ドライウエルに約1分浸けて引き上げ、そのままフイルムクリップでぶら下げておしまい。ドライウエルの滴がたれる
ので下に新聞紙を敷いている。
F 後はフイルムの乾燥を待つばかりである。

・・・書き忘れ・・・
 以上がSEIRYU流の現像法で、一応タイムテーブルを書いたが、実はもう少しアバウトにやっています。現像処理は、現像から水洗まで一定の温
度で行うことが理想ですが、;+−1度は許容でしょう。
 常用フイルムは、Kodak T-MAX 400 です。たまにTri-XTを使用しております。
  T-MAX 400 5分
  Tri-XT     6.5分
  Fuji 1600 Pro 5分
上記の現像時間で処理しています。

・・・大切なこと・・・
 「露光のばらつきについて」 これは各カメラメーカーによって露光の基準レベルが少し違うようです。リバーサルフィルムを主体にプロユースとして
考えている機種はアンダー目に。ネガフイルムの使用を主体に考えている機種ではややオーバー目に設定されているように思われます。また、同一
メーカー同一機種でも個体差が見られます。
 私は、5メーカで9機種使用しておりますが、わずかながら露光レベルが違います。使用カメラに関係なく現像時間を一定にするために、カメラごと
に感度設定を補正しております。−0.5EVグループ、+0.5EVグループ+1/3EVグループ±0グループなどです。+補正を必要とするボディはメーカ
ーに依頼してリバーサル用に−側に再調整してもらった機種です。
 自分のカメラの露光レベルがどの辺りにあるのかを知ることも大切なことです。
アンセル・アダムス氏の推奨するゾーンシステムまで厳密ではないが、これに準じた方法で時々、露光・現像のキャリブレーションを行っております。
美しいプリントを仕上げるためには、モノクロームの「露光ラチチュード」は意外と狭いと言うことを知るべきです。

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